The World of M

大好きなことやもの(演劇・読書・ときどき日常)を徒然書いています

宝塚歌劇 自粛期間と大劇場公演の再開に、「人が作る組織」を考える

宝塚ファンの皆さん、今日は大劇場でついに公演再開でしたね。

私もがっつりスカイステージで生中継を見ましたが、なんかもう、思った以上に感動してしまいました。

そんな私の思いを綴ります。そして、新生花組の誕生と新たな門出、本当におめでとうございます!

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宝塚が公演中止になってもう久しく、私も仕事がもうパッツパツだったのもあり、「あ、公演中止、まあそうだよね、うん、仕方ないよね」という感情のまま日々がすぎていき、

いつしか毎週の様に通っていた東京宝塚劇場に行かないことも慣れてしまい、正直宝塚が生活の一部ではなくなっていました。

スカイステージも、過去に見たかった作品がやっているのがむしろラッキーぐらいに思っていまして、でも本当にとにかく自分自身に心に余裕がなかったので、

宝塚が生活の一部から外れても違和感を感じないまま今まで日々を過ごしておりました。

 

OUR FAVORITE TAKARAZUKA

しかし、今月放送された「OUR FAVORITE TAKARAZUKA」で、歌劇団のみなさん全員の合唱を見たときに、涙がもう止まらなくなってしまい、ああ、私の中で宝塚ってこんなに大きな存在だったんだ、と思わざるを得ませんでした。

専科の方々までみなさんいらっしゃって、なんか本当、専科の汝鳥怜さんや一樹千尋さんまでいらっしゃって、所属年数に関係なく、宝塚ってひとつなんだという思いが、勝手に溢れてきまして。

そんな私は、組織の部外者としてその様な構造を見て、組織のバリュー、要は理念と行動指針の様なものの、大切さを、改めて実感したのであります。

 

宝塚という組織としてのバリュー、つまり価値観が、学年に関係なく根付いている。

時代に合わせたいろんな作品を上演する中でも、組織の歴史の中で、長年歌い継がれてきた歌を今でも大切にしている。そしてさらに素晴らしいのは、ファンである私たちもみんなその歌を口ずさむことができる。

 

組織としての存続は、営利企業である以上、資金、営業利益、売上成績色々ありますが、やっぱり歌劇団の様に、「感動」を売っている組織を作るのは人です。所属する人が組織の価値観に共感し、同じ方向を向いていることの大切さを改めて感じたわけです。

そしてお客様を大切にすることと、組織の価値観と、組織に属する人たちを大切にすることが、いかに事業を存続させるのか。文章にかくと簡単に見えてしまいますが、これができていないお客様商売の企業、多いのではないかなあと残念ながら思います。

 

今の様な未曾有な危機的状況においても、組織に属する全員が共通し、共感している「バリュー」があるから、きっと宝塚歌劇団という組織は、この危機を乗り越えていける。

 

そして、OUR FAVORITE TAKARAZUKAの中で私が感動したのは、「未来へ」合唱の際の、すっしーさん(宙組組長 寿つかささん)のそのパワーです。

前に少し初舞台特集の話から、すっしーさんのことは触れたのですが(以下の過去記事参照)30年歌劇団にいらっしゃり、宙組の立ち上げからいらっしゃる方。この曲への思い入れも、きっと本当に誰よりも強いのだろうと、誠に勝手ながら思いました。

 

worldofm.hatenablog.com

 

そしてそのパワーが全力で画面越しに伝わってきて、私はすっしーさんの姿を見て急に号泣しました。本当に私は、一体誰だよって感じなのですが(笑)、でも、このブログ読んでくださっているみなさんきっとスカイステージ見てる方が多いと思うので、みなさん、すっしーさんにぜひ注目してください。

 

花組はいからさんが通る」フィナーレ&カーテンコール生中継

それで、録画はしていましたが生で見る予定ではなかったこの放送も、結局生で見て、大号泣でした。ジムに行く直前まで見てて大号泣して、目を腫らしてジムに行くシュールな絵(笑)。

でも本当にね、柚香光さん、本当にやっとトップお披露目公演の幕が開いて、しかも思い入れの強い「はいからさんが通る」の再演で、、本当におめでとうございます。 

 

本当だったらもう今頃は東京公演だって終わって次の別箱公演のお稽古に入っていたはずだった時期ですよね。私も、5月12日に東京公演を観る予定でチケットを持っていました。

柚香光さんの挨拶の際に「舞台という文化を廃らせない様に」ということを仰っていましたが、ご自分が所属する宝塚だけではなくて、もう演劇とか舞台とか、そういう文化すべての継承についてコメントができるその姿勢に、「ご立派になられて…」と大感動しました。(本当に私は誰なんだよ、2回目(笑))

 

やっぱりどんな組織でも、どんな人でも、新しいポジションとか立場についた時って、自分が思う以上に精神的なストレスを抱えると思います。トップスターになられて、最初の幕が開くこと、公演中のプレッシャー、本当にたくさんの凡人には想定すらできない様な周囲からの過剰な期待とプレッシャーに立ち向かわなければならないのに、そんな中で公演中止になり、そもそも初日が迎えられない。。

組織の新たなリーダーとして、ご自身のことだけではなく、組織全体のモチベーションを保つこと。終わりの見えない期間をただ待つことしかできない悔しさ。そのご心労を考えると、もう言葉では表現できない感情で胸が苦しくなります。

 

そして今日、やっと開いた幕。「立場が人を作る」のだと、柚香光さんのご立派な挨拶を見て、思わされました。

組織を作る側である、コーポレートの仕事をしている中で、私はいつも、いろんなタカラジェンヌさんたちが成長されて行く姿に「立場が人を作る」を毎度感じています。そして、その人がその立場で輝くためには、組織が、その人が最高に輝くときをちゃんと待つ力、忍耐力も本当に大切だと思っています。宝塚からは、組織を作る上で学ぶことが本当に多いのです。

 

この数ヶ月で、柚香さんも、花組の皆さんも、本当に大変な思いをされたのだと思いますが、それが更なる成長につながったのだろうと思いますし、正直ね、この時期に逃げたいと思うことだってあったと思うんです、人間だから。でも、逃げないで前を向いてみんなで公演再開されたことに、敬意を表したいと思います。

 

そして、本当に毎週の様に劇場に行っていた生活は当たり前ではないということ。今更ながら改めて実感をしました。

 

まだまだウイルスも、全然安心できない状況にある中で、大劇場の公演再開は大変に勇気がいることだったと思います。それに、これからの状況からまたどうなるかわからないけれど、でも、本当に幕が開いたこと、花組の皆さんに、おめでとうございますと声を大にして言いたいです。

 

宝塚に限らず、劇場で行われる芸能は、そこにいるからこそ伝わる臨場感やきらめき、緊張感こそがその醍醐味であると思うのです。私たちファンの当たり前が、当たり前でないことを知った今、改めて舞台を観に行く側の人間として、その舞台への敬意を忘れてはならないですよね。そして、柚香光さんの仰った様に、これからも劇場で行われる芸能の文化が、発展して行くことを心から願っています。