The World of M

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宝塚歌劇 月組「カルーセル輪舞曲」 私たちの心に大切なことを思い出させてくれる 素晴らしい歌詞の数々

2017年は「モン・パリ90周年記念」で、素晴らしいレビューの数々が各組で上演されて楽しかったですね。

グランドホテルと長崎しぐれ坂について書いたのですが(以下記事参照)、その両方で同時に上演された「カルーセル輪舞曲」は、レビューとしての素晴らしさ、「宝塚ってこれこれ!!」が凝縮されているのは、この作品の数ある魅力の中のひとつであるのはもちろんです。

私はこのレビューは特に、それぞれのシーンの歌詞が素晴らしいと思うのです。今日は主に歌詞に注目しながら私的な魅力を語ってみます。

 

⭐️作品紹介(歌劇団オフィシャルウェブサイトより)⭐️

『カルーセル輪舞曲(ロンド)』 作・演出/稲葉 太地
日本初のレヴュー『モン・パリ』誕生から90周年を記念して、優美な華やかさの中に迫力あるダンス場面を織り交ぜて繰り広げるレヴューロマン。地球全体を軸にして回る回転木馬(カルーセル)に命が宿り、まるで輪舞曲(ロンド)を踊るように世界中どこまでも果てしなく駆け出して行く様をイメージ。日本を出発しパリに着くまでを描いた『モン・パリ』に対し、パリから出発して宝塚を目指す世界巡りの形式で、バラエティ豊かな数々の場面をお届け致します。珠城りょうを中心とした、フレッシュでパワフルな新生月組の魅力満載のレヴュー作品です。

 

 

月組宝塚大劇場公演ライブCD『カルーセル輪舞曲(ロンド)』
 

 

グランドホテル・長崎しぐれ坂についての過去記事は以下参照ください。

 

worldofm.hatenablog.com

 

worldofm.hatenablog.com

 

 

worldofm.hatenablog.com

 

レビューの構成

このレビューは、日本で初めて上演された「モン・パリ」という作品のリメイクで、「モン・パリ」が日本からパリへ旅する道中の、世界中の国々の魅力を伝える形式になっていたそうです。「カルーセル輪舞曲」は、「モン・パリ」からのインスピレーションを受け、パリから宝塚を目指して旅をするという構成になっています。

このようなレビューの形式の魅力は、各シーンで描かれる国や街の文化に触れられることかなと思います。そして、「ふるさと」である宝塚を目指し、フィナーレでは本当に夢のように素晴らしい黒燕尾が披露されました。

 

歌詞の魅力

全てのシーンで、当時新生月組のお祝いのようなメッセージが込められており、旅の始まりのセレブレーション、各国でいろんな経験をし、そして最後にふるさとの宝塚に帰ってきます。 

 

オープニングナンバーの中で、特に大好きな歌詞が

 

流れゆく時の中で 偶然に同じ時を生きている まだ見ぬあなたと 手を繋ぎたい

73億人が夢を描くこの世界 せめて手を取り合い 小さな喜び 分かち合える時を 今 探し始めよう

 

新しい旅に出るワクワク感はもちろんですが、世界中に今生きている私たちは、本当に偶然にも同じ時に生まれ、そしてこの地球上には73億人もいる中で、こうやって自分の愛する人や周りに出会えた奇跡に喜びを感じさせるようです。

 

次に印象的なのが、宇月颯さんが素晴らしい歌唱力を魅せるインド洋のシーンです。

 

もしも私の背中 翼があるとしても 目の前の荒波を ひとりで越えてはいけないだろう

だからあなたと 翼になろう 手を取り合いこの海を 越えて行こう

 

そして、

 

私の旅は終わることなく 果てしなくどこまでも飛ぶ ひとりじゃなくて あなたと翼重ねたらより遠くへ 飛んで行ける

 

と合唱になります。

 

自分が頑張りすぎている時って、なんでもひとりでやろうと自分を追い込むことがありますが、このシーンの曲は素晴らしい仲間の大切さを思い出させてくれる本当に素敵な歌詞だと思います。ひとりではできないことも、みんなと力を合わせれば、どんな困難だって乗り越えていける。組子の総踊りもあり合唱もありで感動的な場面です。

 

そして、ここからフィナーレに行くのですが、私はこのフィナーレのデュエットダンスの曲が大好きです。いろんな国を巡り、たくさんの夢を追いかけて、最後に宝塚に帰ってくる、というストーリーですが、素晴らしい男役の黒燕尾群舞のあと、トップコンビのデュエットダンスが始まります。

 

遠くへと旅して 黄昏に思うは ただひとつの 生まれた場所 わたしのふるさと

花は咲き香りて 月は誇り高く 雪は清らに 星は永遠に 宙に抱かれ

夢追いかけ 夢を信じ 旅して いつの日にか必ず そこへ帰る 愛する場所 わたしのふるさとへと 

 

これだけの短い歌詞ですが、様々な国で素晴らしい経験をしても、最後にはやはり生まれ育った場所に帰るという思い。昨日の長崎しぐれ坂のエントリーとちょっと似た感想になりますが、やはり素晴らしい思い出がある場所である故郷に、人は思いを馳せ、そのふるさとの美しさは、その人それぞれの中できっと永遠に残るものなのでしょう。

この歌詞に込められた「ふるさと」は宝塚を意味していると思いますが、ファンの私たちにとっても、宝塚は大切な場所であり、それを「ふるさと」と表現しているのもまた素敵で粋だなあと思います。

 

それにしても、こんな王道なレビューがたくさん見られた2017年は素晴らしい年でしたね。当時、新生月組の大劇場お披露目公演だったこのレビューですが、新生月組スタートの、組の団結力が見られたレビューでした。何よりも月組が一丸となって珠城さんのトップスター就任を支えている思いが舞台に現れていて、心に来るものがありました。

 

珠城さんのご卒業前にもう一度こういう王道レビューを月組で観たいです。退団公演のショーが今から本当に楽しみです。

今になっての後悔。。。

当時、グランドホテルがあまりにも毎度美しすぎて、幕間も放心状態のまま、気がつくと幕が上がっていて、私は大体テキーラの場面まで心が戻ってこず、、だったのですが、本当に、今ブルーレイでレビューだけ観たら、魅力的すぎて目が足りない。。

こんなに素晴らしいレビューで、しかも私東京公演は4〜5回も通っていたのに、なんだか色々見逃したことが悔やまれます。。。

しかも、今見ると、もう後ろで踊っている下級生たちの顔と名前も大体わかるので、そのみんなを見るのも必死。その楽しみ方も宝塚を観続ける楽しみのひとつですよね。

 

本当に素敵で充実した大劇場公演だったのですよね。叶うことはないけれど、もう一回劇場で観たい作品です。そして、ショーは割と、煌びやかさと踊りに目が行きがちですが、ぜひみなさん歌詞に注目して聴いて観てください。新たな素晴らしい発見がありますよ。