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大好きなことやもの(演劇・読書・ときどき日常)を徒然書いています

「のっけから失礼します」三浦しをんさん著 エッセイのススメと日常生活への観察眼

最近本を読むことになんとか徹している毎日なのですが、私が兼ねてから大好きだった三浦しをんさん「のっけから失礼します」がエッセイ集になったと発見し(ちなみに発売されたのは2019年で1年前です。気がつくのが遅い)早速読了しました。

 

三浦しをんさんといえば、映画化もされている小説をたくさん書いている著者の方(調べたら映画化された作品はこんなにあります)です。

そんな有名著者のエッセイ集と、普段本をあまり読まない私との接点はどこなのかというと、集英社ファッション誌 BAILA です。

 

のっけから失礼します

のっけから失礼します

 

 

BAILAの巻頭エッセイを三浦さんが担当されており、それが大好きな私にとって、これが書籍化された感動は、大げさでなく今年一番なのです。

それに、朗報なのですが、三浦さん、宝塚がお好きなんですよ。エッセイ内にたまに出てくる宝塚のお話と、そこで三浦さんが体験された感情の揺さぶられ方が、あまりに共感できすぎて、私は心の中でいつも三浦さんと固く握手をしています。(宝塚を観たことにより、「生きててよかった!地球よありがとう!」となられるあたりが、私もです、と強くお伝えしたい)

宝塚ファンブログが読みたくて、このブログにたどり着いた方がもしいらっしゃったら、ぜひ、三浦さんのエッセイをお手に取って見てください。ではでは、私の感想を以下「続きを読む」からどうぞ!

 

 

私は自分が就いている仕事の関係で、ファッション誌の内容に高いアテンションを持つことが求められることがありまして、購読こそしませんが、読む機会があれば、内容をコマーシャルな側面からチェックします。

しかし、そもそも、私はファッションのトレンドとか、何が良いとか悪いとか、正直あまりよくわかりません。まあ、冷たい視点かもしれませんが、ファッション誌は私の観点から、あくまでもお洋服や化粧品を売るために、「トレンド」を勝手に作り上げた「ミラージュ」の世界だと思っていまして、だからこそ、美しいモデルさんや美しいお洋服に心踊らされ、「あ、買い物に行こう」と思うのですよね。

 

そんな結構冷めてる私ですが、ファッション誌を仕事の関係で読む時に、一番楽しみにしているのが、三浦しをんさんの、BAILA の巻頭エッセイ「のっけから失礼します」なのです。

なんなら毎度 BAILA の中身に行く前に巻頭エッセイ読んで大満足しちゃうこともあり、結局仕事になってないのですが、でもでも、ファッション誌って、そもそも、私のようにファッションに無頓着な人には敷居が高い存在でもあり、それをこんなに楽しいものからスタートさせるのって、ファッションじゃなくてエッセイ目当ての層からの購買に一役かってるのでは?

集英社の編集の方々、ファッションというニーズがないところに、エッセイファンのニーズを生み出し、売り上げを作る仕組みを作っている。。やはり、頭の良い方はすごいです。まんまとその狙いにハマっている私。

 

このエッセイ集は、過去にBAILAの巻頭1ページに掲載されていたエッセイを集めた本なので、ひとつひとつのストーリーは、4ページぐらいで終わります。なので、ちょっと時間があって少しだけ何か読みたい時とか、仕事とプライベートのスイッチをオンオフする時とかに、さっとひとつだけお話を読む、なんてこともできる代物だと思います。

 

三浦さんの普段の生活を基盤に、日常的な出来事を面白おかしく書いていらっしゃるのですが、その文章表現のされ方や、快活な物書き、そしてその背景に起こる妄想の数々。面白おかしく書いていらっしゃるので、明るくなること間違いなしなのですが、私はどのストーリーにおいても、三浦さんの日常における観察眼と着眼点にとても感銘を受けるのです。

それぞれのお話で、書いてあることは、誰もが毎日を生きていく中で起こった何気ない出来事がテーマになっています。例えば、駅でよく見る人の話や、何気ない友達との会話、自分がハマったアイドル(宝塚も含め)の話、長年乗っている自転車とかご家族との会話とか。

普通は、何気なく日常を過ごしていたら、気がつくことのないことを題材にされているのです。「今日はどんな1日だった?」と聞かれると、言葉に詰まる方、多くないでしょうか?

三浦さんのエッセイを読むと、実は単調な毎日に見えて、実は目の前で、ツッコミどころ満載な面白いことや、大感動をするような素晴らしいことが起こっているということに、気づかされるのです。それに、そこからさらに想像を膨らませて、より素晴らしい発見をされていたり、いろんな方の面白い妄想のお話から、人それぞれの特徴も面白く捉えられたりされていて、地球上の私たちみんなそれぞれに「個性」があること、それを受け入れ共存していくことへの、広い心を持つことを改めて気づかされます。

 

 

それにしても、日常生活の中で、様々な着眼点と観察眼を持って物事を見ていらっしゃり、そこからさらに想像を膨らませられることができるなんて、本当にすごいなあ。私も三浦さんのように、ひと呼吸おいて、日常でのいろんな発見をできるように、広い視野を持てば、人生と世界はもっと楽しくなる!皆さんもぜひ楽しんで読んでみてください!