The World of M

大好きなことやもの(演劇・読書・ときどき日常)を徒然書いています

宝塚歌劇 星組「桜華に舞え・ロマンス!」から 良い組織づくりについて考える

湖月わたるさんとの私の一方的なご縁で、再度宝塚を観るようになった2016年。

まさに、最後に中日劇場月組公演を観劇してから、10年ぶりの宝塚観劇へのカムバック(星組 こうもり・The Entertainer!)、そして、初観劇から15年越しの思いを胸に、初めて宝塚大劇場にいきました。

長い間離れていたし、そもそも大劇場には初めて行ったくせに、「心のふるさと…!」と一人で感動し、心の中に住まう、10歳ぐらいの時の私に(やっと来られたよ…!)と語りかけていました。

そして、「わたるさんがいらっしゃった星組って最高❤️」と思いながら、とにかく星組を観るようになった矢先、なんと、当時のトップスター 北翔海莉さんが退団発表。

そんな私は「これは全力で見届けるしかない!!!」と、謎の意気込みとともに、宝塚へのカムバックと共に、トップスター退団公演に心血を注ぐことになります。

その時の「桜華に舞え」と「ロマンス!」について、私の独自目線でまた組織論を語っていきます。

 

⭐️作品紹介(歌劇団公式ウェブサイトより)⭐️

 

グランステージ『桜華に舞え』-SAMURAI The FINAL- 作・演出/齋藤 吉正
幕末の動乱期に雄大桜島がそびえる薩摩藩の貧しい城下士の家に生まれ、人並みはずれた度胸と剣の腕で、明治維新の立役者の一人ともなった桐野利秋明治新政府では陸軍少将に任じられながらも、敬愛する西郷隆盛と共に下野し、“避けられぬ宿命”西南戦争へと身を投じて行く。彼が命を賭けて守り抜こうとしたものは果たして何だったのか……。会津藩との戦いの最中に出会った娘との恋や、苦楽を共にしてきた薩摩兵児達との友情、そして対立を交え、“真心”を持ち、己の“義”に真っ直ぐに生きた最後の侍の生き様を描き出します。
ロマンチック・レビュー『ロマンス!!(Romance)』 作・演出/岡田 敬二
宝塚レビューの伝統である、華やかで美しく香り高い世界を描いた、ロマンチック・レビュー・シリーズ第19作品目。星組トップスター・北翔海莉の定評ある歌唱力を存分に活かし、宝塚歌劇の永遠のテーマでもあるロマンチックな“愛の世界”をバラエティー豊かにお届け致します。

 

 

まず、本当に、宝塚ファンのみなさま、今更桜華に舞えの話をしてごめんなさい。

書きたいことが山ほどあり、なるべく時系列に沿って書いておりますので、2020年まで、まだ追いつきません(笑)

 

桜華に舞え

まず、「桜華に舞え」なのですが、史実に沿い、フィクションも交えながらの明治維新のお話です。最終的に、西郷派として西南戦争で散って行った、薩摩隼人の一人である、桐野利秋が主人公です。

西郷隆盛を中心に、志高い薩摩隼人たちが「維新」に成功しますが、その後、実質的には自分たちで国を治めるにあたり、派閥が生まれ、仲間だった薩摩の同志たちが、分裂して行きます。最後に西南戦争が起こり、「侍の歴史」が終わります。

物語は、維新後がメインで描かれていて、維新によって立場が上がった者と、立場を失った者、新たな国を作って行く新政府の中での揺れ動き、仲間同士の対立。そして、その何年も後に総理大臣となる犬養毅が、ストーリーテラーとして進む脚本です。

 

維新の後、「自分たちが理想とする国を」と、それぞれの道を邁進していく仲間たちですが、やがて自分がどのリーダーの考えについて行くのか、それによって仲間たちも分裂して行きます。誰もが、「良い国にするために」という思いでいろんなことをしようとするのに、どんどん歯車が合わなくなっていき、最終的に、「西南戦争」という形で維新を達成させます。

 

私はいかなるお芝居の脚本も、現実に置き換えて考える癖があるのですが、、、組織の中で、みんなそれぞれが、組織のために、もっと環境をよくするために、と様々なことをやっているはずなのに、なぜか上手くいかないことや、協力を得られないことがあります。これはリーダーシップの問題なのか、話し合いの問題なのか、保身の問題なのか、はたまた何も考えていないのか。。。

最終的には、争いになり、組織を理不尽な形で追われてしまったり、組織から意に反する形で離れざるを得なくなったりします。そんな組織内での闘争をみて、そこに所属する人は、保身に走り、組織内の問題から目を背けるようになる。

お芝居の中では、本当に命を落とす覚悟で「革命(維新)」を成し遂げますが、その後、結局何が残るのか、、、「維新とはなんだったのか」というその虚しさが描かれているところも、また真意を表していていると思います。新しい組織でも、また新たな課題が生まれ、それを解決し続ける。。。仲間を追い出してまで、目指したものの結果はこれだったのか。。。という虚無感。

このお芝居の終盤で、政府のために、大久保利通が、親友である西郷隆盛と対立することになってしまい、西南戦争終結とともに「維新が成し遂げられた」とする場面があります。大久保が、西郷の死を知り、悲痛な叫びをあげるシーンが、本当に切なくなります。本当だったら、しっかりとしたコミュニケーションが行われていれば、防げたかもしれない戦争。お互いが譲歩をして、互いの考えを尊重し合えたなら、さらにもっと良い政府が作られたかもしれない、、そんな思いを感じてしまいます。

 

組織でも、ちょっとしたコミュニケーションのもつれが、なんだか歯車を狂わせてしまうこと、そして、大好きだったはずの一緒に働く仲間が、いつしか「組織に合わない人」になって行く。そしてある時、自分も、「この組織で必要とされていない、合わない人になっている」と感じるようになる。

明治維新とは比べ物にならないですが、私たちの日常生活でも感じる孤独や派閥の争い、理不尽な悲しい別れ。そういうものと、この作品を重ねずにはいられません。

 

世界は常に改善できる機会に満ちています。この「桜華に舞え」のテーマであった「義を持って」、最後まで自分が正しいと思う在り方を信じて、組織に立ち向かって行く桐野利秋の姿に、私たちは感動し、勇気をもらったのだと思います。

組織のトップに立つ人たちが、自分の考えに固執し、コミュニケーションを怠るようになればなるほど、その組織に所属する人は保身に走るように思います。自分の信念を伝え、組織を変えようとすることが、難しくなって行くのでしょう。でも本当に悲しく空しいのは、どんな組織も、互いに対するほんの少しの思いやりと、譲歩と、考えの共有があれば、歯車が狂うことはないのではないかと思うのです。

私たちも、現実に所属している組織の中で、何かを変えるためのエネルギーは並大抵のものではないですよね。いつしか改善すること諦め、ぶら下がって生きて行くことを選ぶこともあると思います。でも、それは間違ってると心のどこかでわかっている。だからこそ、私は、この作品のテーマ「義を持って」、即ち、自分の信念を持って組織に立ち向かうことに、敬意を感じ、感動をするのだと思います。

 

あと、この翌年に、NHK大河ドラマ西郷どん」めちゃくちゃ楽しみました。桜華に出会ったおかげ。

 

ロマンス!

私、そもそも子どもの頃、所謂宝塚の「レビュー」が好きで、岡田先生の王道レビューが本当に本当に好きでですね。なので、この「ロマンス!」はもう、ただただ美しく、大好きな宝塚の世界が広がっていて、楽しかったです!(急な語彙力の欠如)

レビューの導入も好きだし、オープニング後に男役3人がロマンスを探して歌うつなぎも好きだし(というか、こういうのがレビューの醍醐味よね)あと、やっぱり北翔さんのさよならショー的な要素がたくさん詰まっていた「友情」の場面とか、本当にすごかったです。

ロマンス!で見えた、星組のみなさんが、北翔さんの最後のステージのために全力を尽くす姿、やっぱり、舞台に出ますよね。如何にそのリーダーシップで、客席を含む劇場全体を「エンゲージ」するか。そんなことを考えさせられるショーでした。

 

最後に

なんだか本当に、急に桜華の話と、あと、メインで話したかったのが組織の話だったので、私の宝塚作品考察はこんな感じでこれからも進めて行こうと思います。

組織づくりの鍵は、持論ですが、大きく言うとコミュニケーション。自分たちも心がけて日常生活を送って行きたいものです。そして、3年半越しの思いですが、北翔さん、宝塚での素晴らしい舞台の数々、ありがとうございました!