The World of M

大好きなことやもの(演劇・読書・ときどき日常)を徒然書いています

宝塚歌劇 宝塚 OGにハマる 舞台で見える「リーダーシップ」

私は青春時代の全てを日本の外で観て触れられるものかけていたので、アメリカに住んだりアジア各国を周ったりヨーロッパでインターンしたりと、一体軸足はどこにあるんだ、と言われるような生活をしていました。

 

でも、舞台への興味はいつでも心の中にはあって、特に「名作」と呼ばれる作品は必ず観ておきたい。なので、どこの国に住んでいても、世界ツアーで周ってくる作品や、日本では上映されないであろうアメリカのミュージカル(これがまた本当に素晴らしい)は必ず観てました。海外で観た舞台の数々は後日たくさんお伝えしたいと思います。

 

私はそんなめまぐるしい軸足が日本にない青春時代、元星組トップスターの湖月わたるさんにどハマりすることになります。

 

きっかけは、2008年の「愛と青春の宝塚~恋よりも生命よりも~」という作品です。しかもこれ、生で見たわけでなく、その2年後ぐらいに映画館で上映されていて、夏休みで実家に帰っていた時に母に付き合って観たという、そんなノリです。

ちなみにこの作品は私個人的に素晴らしいと思っているので、宝塚ファンとか舞台ファンじゃなくてもぜひ観て欲しい。日本の現代史の勉強にもなります。

 

 

戦前〜戦中の宝塚歌劇と、その世界で生きたタカラジェンヌやその周囲の人たちの、それぞれの人生の物語です。

湖月わたるさんが、主人公の一人である「リュータン」さん(トップスター)として出演されていました。

 

リュータンの、舞台への思い、お客様への思い、後輩たちへの思いなどなど、普段は本当に厳しいトップスターが、実は愛情に溢れている姿や、

戦争という、私たちには想像ができないほどの苦しい時代を、明るく前向きに振る舞うか、組織を引っ張る素晴らしいリーダーとして描かれていて、大感動しました。

ちなみに作品内では、リュータンだけではなく、リュータンの組に配属されてくる初舞台生たちそれぞれの人生模様や、宝塚の先生方の思いも繊細に描かれています。

 

作品の良さ、特に、作品内でのキャラクターの描かれ方は、脚本・演出の力が大きく影響すると思います。しかし、演者がそれをモノにし、伝える力がなければ、どんな良作も駄作になってしまう。一つの舞台作品を作り上げる全てのものが良い化学反応を起こし、初めて舞台は成立するのではないかと、思っています。(素人ながら恐縮ですが)

 

わたるさんが演じたれた「リュータン」は、舞台全体、それは、他の役者さんやスタッフさんだけでなく、客席にいる私たちをも、その物語の中に息づくひとりとして、「エンゲージ」させてくださったと感じたのです。

 

しかもラッキーなことに、2011年にこの「愛と青春の宝塚〜恋よりも生命よりも〜」はなんと再演されたんですよね。生で観てさらに大感動。大雪の中、青山劇場に3回ぐらい通った思い出。

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青山劇場の等身大パネル

 

舞台を通して感じる、わたるさんの「リーダー」像。それは、自分が輝く中でも、舞台の細部まで気を配り、愛情を向けてみんなを見ていること。

「尊敬できるリーダー」がいて、「この人のためにもっと頑張りたい、物事をよくしたい」と、周囲が自然に思えることが、理想的な組織の形なのではないかと思っています。

そして、組織(作品)の中で、主演を演じられるわたるさんの素晴らしさは、何よりも、どんなお役でも謙虚で真摯に向き合われていて、常に上を目指す姿勢、そして周囲への気遣い。だからこそ、カンパニーのみなさんとの信頼関係が生まれ、素晴らしい舞台が出来上がるんですよね。

 

「私もわたるさんみたいになりたい!」と思って、その後もヒップホップに初めて挑戦されたり、ブロードウェイキャストのCHICAGOに「ヴェルマ」として英語で挑戦されたり、そんな挑戦を辞めないわたるさんを追いかけては、感銘を受け、勇気をもらっていました。

 

わたるさんを追いかけたからこそ、わたるさんを通して出会った作品も本当にたくさんあります。きっとわたるさんを追いかけなかったら、出会わなかったであろう素晴らしい作品の数々。まさに私の見聞を広めさせてくれたわたるさん、今でもずっとずっと尊敬している方です。