The World of M

大好きなことやもの(演劇・読書・ときどき日常)を徒然書いています

大人になってから読む&観る「ハリー・ポッターと賢者の石」 自分のアイデンティティを見つける旅

f:id:mizuki021190:20201113191459j:plain

 

最近ハリー・ポッターの映画が毎週のようにテレビで放送されていたからか、私が毎日何気なく開くスマホアプリのスマートニュースでも、ハリー・ポッターに関する話題やキャストのゴシップがたくさん。そんな記事に感化されて、ハリー・ポッターをもう一度読みたいと思い立ったが吉日、図書館で本を借りて、2日間で一気に読んで映画も観ました。

大人になってから読んで、こんな話だったのかと驚くこともあり、映画もまた、御方が全然変わりました。そんな感想エントリーです。

 

私の世代にとっては、ハリー・ポッターと言えば同世代のヒーローそのものです。私は賢者の石が発売された当時9歳で、母が読んでいたのを横から少しだけ読ませてもらいました。そしてその直後、11歳の時に映画が公開され、同学年のダニエル=ラドクリフさんが主演をされました。

全く同じ時期に、全く同じ世代の人が、その実年齢を演じられて、成長していく姿はとても眩しかったことを覚えています。

しかし小学生当時、読書が苦手だった私はしっかり本は読めぬまま、アズカバンの囚人ぐらいまでは読みましたが内容は今はさっぱり抜けております。映画も中学に入ってからは観なくなり。完全に置いていかれました。

 

子どもの頃は、ハリー・ポッターの本はとんでもなく分厚い本だと思っていましたが、今手に取ってみると一つひとつの章は短くてあっという間に読めてしまいますね。そして何より、翻訳の文章がとてもチャーミングだと率直に思いました。英語が話せなかった子ども頃は絶対に出てこなかった本の感想の一つです。英語独特の意地悪な言い回しを日本語でどう嫌味なく文章化するのか、とても勉強になりました。英語からの翻訳ということであまり関係ないかもしれないですが、ところどころ出てくるロンの意地悪な発言がとても面白くて笑ってしまいました。(例えば、スネイプ先生が足を汚されているのを見て、「ものすごく痛いといいよな」と言っている場面‥小学生〜中学生ぐらいの男の子だからそういう発言もするか、となんか微笑ましい気分になりました)

 

それにしても、ハリーは魔法界では生まれながらの有名人ですが、それを知らずに育って、11歳の誕生日をきっかけに、世界がガラリと変わっていきますよね。ホグワーツでの生活を通して、自分のアイデンティティを探し、見つける喜びが伝わってきて、胸が熱くなる場面が多々ありました。

特にすごく粋だなと思ったのは、原作にはなくて映画にあった演出です。ハリーが箒で空を飛ぶ授業で、まだ飛んではいけないのに、ドラコに挑発されて飛ぶシーン。こちらをマクゴナガル先生が見て、グリフィンドールのシーカーにハリーを推薦します。原作では、自分の父親もシーカーだったことを先生に教えられるのみでしたが、映画では、ハーマイオニーがハリーに自信をつけさせるために、学校のある場所に連れていくのです。トロフィーが飾ってあるところに連れて行き「優秀な血が流れている」と見せるのが過去のグリフィンドールのクィデッチ優勝杯。そこにお父さんの名前が刻まれています。そしてそれを見て微笑むハリー。その演技、表情に、自分のアイデンティティホグワーツの中で見つけていく様子が現れていて、なんて素敵なんだと感動しました。

やっぱり人間は自分のルーツを否定することはできないし、自分がどこからきて、何と繋がっているのか、知りたいものですよね。ハリーは幼少期こそ、唯一の身寄りであるダーズリー一家と共に過ごし、あまり良い扱いは受けず孤独だったと思いますが、ホグワーツに入学し、そこで過ごす中で見つけていく自分のルーツに喜ぶ姿は感動しました。そして悲しくも、自分が背負った運命を理解しているからこそ生まれる正義感があるのだなと感じました。

 

映画では少しだけしか表現されていませんでしたが、みぞの鏡の章は特に考えさせられることは多かったです。物語の中では大切な鍵を握る鏡ですが、こちらはハリーは最初に見つけた時、見たことのない自分の両親や家族を鏡の中に見つけ、毎日のように鏡の前に現れるようになります。そんなハリーを見て、ダンブルドア先生が、この鏡の前で過ごして人生を破滅させた人を何人も見てきた、と忠告されます。

大人になってから特に思いますが、昔思い描いていた理想のように人生は進まないわけで。自分が見たいものを見せてくれる鏡の前で何日も過ごし、今を生きられなくなるということは容易に想像できてしまいます。人間は何かにすがりつきたいし、でも、幻想に取り憑かれると自分の人生を生きられなくなってしまいますね。ハリーは幼くして幻想の中に入り込もうとしてしまう、悲しい人間の心理を映し出した一章だと感じました。

 

子どもの頃には理解できなかったことがたくさんあったハリー・ポッターシリーズの第1作。面白かったし、何よりこの本の描写をそのままに映像化した当時のチームのみなさんの素晴らしさ!みなさんも、もう一度読んでみることおすすめです。


 

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

 
ハリー・ポッターと賢者の石 [Blu-ray]

ハリー・ポッターと賢者の石 [Blu-ray]

  • 発売日: 2014/07/16
  • メディア: Blu-ray
 
ハリー・ポッターと賢者の石 (字幕版)

ハリー・ポッターと賢者の石 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video