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「満月珈琲店の星詠み」望月麻衣さん著 占星術で自分を知る癒しの本

可愛いブックカバーを本屋さんで見かけて、思わず手に取った一冊です。思えば、その時は何かにすがりたかったのかもしれません。この本のテーマはまさに「星詠み」西洋占星術への誘いという印象を受けました。

私たちの日常で起こる様々な出来事を、星の動きを通して自分を知り、認め、受け入れて行くこと。そんな習慣を、オムニバス形式の短編ストーリーでわかりやすく紐解いて行く構成になっています。

満月珈琲店の星詠み (文春文庫)

満月珈琲店の星詠み (文春文庫)

 

 

⭐️本の概要(Amazonより)⭐️

満月の夜にだけ現れる満月珈琲店では、猫のマスターと店員が、極上のスイーツやフードとドリンクで客をもてなす。スランプ中のシナリオ・ライター、不倫未遂のディレクター、恋するIT起業家…マスターは訪問客の星の動きを「詠む」。悩める人々を星はどう導くか。美しいイラストにインスパイアされた書き下ろし小説。

 

本の構成は、縁があって繋がりがある男女4名のお話が短編で描かれており、そのひとつひとつの短編小説の主人公が抱える悩みや苦悩を、星詠みしながら解決の方向に導いて行きます。

この本のタイトルである「満月珈琲店」には、これまたそれぞれの主人公と縁がある猫ちゃん達の喫茶店という設定で、その猫ちゃん達が占星術に詳しく、それぞれの悩みの解決のヒントを、星を通して与えてくるのです。

そして、楽しい描写はストーリーだけではなく、他にもたくさん。文章を読むだけで目の前に浮かぶ、大好きな京都の街の情景や、満月珈琲店で出される本当に美味しそうなスイーツやドリンクの数々。私はこの本電車の中で読みながら、お腹が空いてきて、ケーキを買って家に帰ることに笑。でもそれくらい想像力を掻き立てる表現がされています。

 

主人公それぞれが抱える苦悩は、私たちが日常でぶつかるようなことばかりです。仕事での行き詰まりや、素直になれない恋愛など。

 

私が特にこの本を読んで大変興味深いと思ったのは、私たちが生まれた日・時間の星の位置によって決まるそれぞれの出生図についてです。よく「こういう星の元に生まれて」みたいな表現は聞くけども、それってあながち間違っていない表現なのですね。

私はこの本を読んで初めて意識をするようになったので、全くの素人ですが、自分が生まれた時、どの部屋にどの星がいたかどうかで、自分の人生を司るものが変わってくるというのです。

自分の人生のテーマって人それぞれですが、自分に何が興味があるか、どのようなことに使命を持って生まれてきたのか、星の位置によって導かれていることがあるのですね。

 

ちなみに私も素人なりに、ネットで調べて自分の出生図を確認してみたところ、結婚すべき相手は今の夫の性格と合致してました笑。

「すべき」という表現は語弊があるかもしれませんが、これはつまり、自分がどういう星の元に生まれていて、こういう性質があるから、足りない部分を補える人はどういう人であるべきか、という、私なりの考え方です。

 

人生それぞれなので、全部が全部を星に決められているわけではないと私は思いますが、占いって私は「自分が特に気をつけるべきこと」を教えてくれるものだと思っています。きっとそういうものに気持ちが行くのは、潜在的に苦手意識があると自分で認識していることだと思います。だから、特に気をつけておいて損はないこと。

現代社会に生きていて、完璧を求めらるシーンも多くありますが、そもそも完璧なんて存在しません。星を通して自分の性質を確認し、いたわってあげることが何よりも大事なのだと思います。この本が伝えたかったのはそういうことなんじゃないかと思います。

 

この本に登場する「満月珈琲店」は、そんな風に自分を癒し、包み込んでくれるような空間に描かれています。自分を見失いやすい時代だからこそ、自分がどんな人間なのかを改めて知ることって大切ですよね。この本を通して、それが見えてくる気がします。

 

とても読みやすい完結型で、好奇心そそられる星のお話、そして何よりも本当に美味しそうなスイーツがたくさん散りばめられた本です。たまにはゆっくり紅茶を入れて、夜の読書のお供にぜひ読んでみていただきたいです。🌕