The World of M

大好きなことやもの(演劇・読書・ときどき日常)を徒然書いています

ミッフィー展 日常の小さな幸せから心の豊かさを育むこと

みんな大好きミッフィー!!今年で誕生65周年です。

私は子どもの頃からミッフィーが大好きでして、ミッフィー展は5年に1度の一大イベントです。

今年は新型コロナウイルスの影響もあり、開催が延期となりましたが、いま松屋銀座のイベントスペースで絶賛開催中です。

チケットも時間制になっていて、30分ごとに入場を誘導しています。

 

miffy65.exhibit.jp

 

今回は、ディック=ブルーナさんがお亡くなりになって初めてのミッフィー展。

愛が本当にたくさん詰まった展示内容でした。私視点の感想をご紹介します。

 

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今回のミッフィー展は、ディック=ブルーナさんの人生とともに、ミッフィーの歴史を、出版された絵本の原画とともに辿る内容です。

ディック=ブルーナさんがミッフィーを書き始める前に、イラストレーターとして作成されたポスターなどの展示もあり、大変貴重な品が揃っています。

とても深い内容で、感動がたくさん詰まっていました。

 

ブルーナさんの人生と、ミッフィーに込められた思い

ブルーナさんは最初、お父様の出版社で働き始め、その傍らで制作を活動をされていたのですね。ミッフィーが生まれたのは、息子さんへの読み聞かせをするためだったそうです。

子どもの絵本という印象ですが、ミッフィーのストーリーは、必ず誰もが子ども時代に経験するような、何気ない日常の一コマ。その子の成長を見守る温かい両親や祖父母の存在などが描かれていて、愛に溢れた内容の数々です。

そして、時代とともにミッフィーシリーズの内容も、その時の世相を大きく反映していることも改めて感じました。いろんな肌の色の子どもたちが一緒に遊び、お互いの個性を褒め合う内容や、ミッフィーが女王さまになる夢を見るストーリーを通して、王族も私たちとごく変わらない生活をしていることを説明する内容のものもあります。

 

ミッフィーのストーリーは、オランダ語では韻を踏んだ4行の詩の形式になっていて、言葉遊びのリズムを楽しむ内容もありました。オランダ語って結構ドイツ語と似た音の出し方なのかな?

 

作品を通して、ブルーナさんが世界中の子どもたちへ、何気ない日常の幸せを伝えたかった思いが感じられました。そして、創作活動を通して、筆や色使い、韻の踏み方など、なんどもブルーナさんが手を加えた様子も伺える展示内容になっています。きっと誰よりも完璧主義で、日常の小さな幸せを本当に大切にされるお人柄だったのだろうというのが、ミッフィーを通して伝わってきます。

 

ミッフィーと日本の繋がり

そして展示内容は、ミッフィーが日本で出版されるに至った経緯や、その立役者になった方々にスポットが当たります。ミッフィーが日本にやってきたのは、1964年頃で、オランダでミッフィーの初版本が出版された翌年だったそうです。

子ども向けの絵本というものの文化が浸透していなかった当時の日本。この作品にヨーロッパでいち早く目をつけて、日本で展開されたのは当時の編集者の方々、全員女性なのです。仕事において男性とか女性とか、性別における能力の差は言及すべきではありませんが、戦後の好景気の中の日本で、女性が働くことがスタンダードではなかった時代のはずです。

翻訳者の方、出版社の方々が、ミッフィーを見つけその世界観に魅了され、日本での出版の際も、オランダ語の詩のテンポを忠実に日本語で再現されています。まさに、今の日本の児童文学の魁を作った絵本なのです。

 

そして、この日本でのミッフィー出版の立役者になった皆さんと、ディック=ブルーナさんの交流の数々。直筆のお手紙も飾られていて、英語でやりとりをされていた様子が伺えます。ブルーナさんが大切にされていたことを、日本での出版にあたり、それをしっかり引き継ぎ、守ってくれたことへの感謝のお手紙が展示されています。

言語や文化が違う作り手の思いをしっかりと汲み取り、そのフィロソフィーを伝えていく、当時の立役者のみなさんの能力の高さも伺えます。

そして、大切なものを伝えるのに、言語や文化の違いは関係ないことも、改めて感じられました。

 

展示を実現させた皆様はすごい!

何と言っても、今回の展示内容はすごいです。今まで出版された絵本の、原画が、不採用になった絵も含めて展示されています。これらの貴重な資料を展示するに当たり、どれほどの交渉と労力をかけてこられたのか、、大変貴重な資料なので、一辺倒に「はい、どうぞ」と所有者は貸してくださらないと思うんです。

その裏にあった数々の交渉、ミッフィーのような世界的コンテンツと世界観を扱うにあたり、そのガイドラインも大変厳しいものだと思います。

 

一時、開催そのものも危ぶまれたであろうこの展示ですが、本当に開催されることにより、後ろで動かれた皆様の労力が報われて本当によかったと思います。

 

そして、私たちの本当の幸せは、日常の中に潜んでいる。ミッフィーはそれを教えてくれる、大人にも思い出させてくれる、その何気ない幸せの象徴なのではないでしょうか。改めてミッフィーの魅力を発見し、その世界を作り上げてきた皆様に、大拍手です!